皆さんごきげんよう。施設の事故対策おじさんです
介護事故は介護職にとって本当に悩みの種ですよねぇ…。
今回は、介護職にありがちな介護事故について、事故が起こる原因を解説しますよ!特に、私の施設で起こっている回数の多い3種類の事故をベースにご紹介。
皆さんの周りで起こってませんか?こんな事故!
- 転倒
- 誤嚥
- 誤薬
介護事故の8割以上!?どうして転倒は防げないのか!
現在数え切れないほど発生している介護事故。
その実に8割以上が「転倒・転落」と言われるほど、介護施設で発生しやすいのが転倒事故です。
転倒とは、歩いている、座っている人が床面に倒れこむことをいい、転落とは主に20センチ以上の高さのところからその下へ落ちることをいいます。
よく、椅子に座っている人がしりもちをつく「ずり落ち」という事故がありますが、これは「転落」のもっとも軽い形態です。
体がどこにも触れずに床面に座り込めば転落、椅子や車椅子に体をこするようにゆっくりと座り込めばずり落ちになります。
その原因は共通していて…
- 利用者本人の問題
- 環境整備の問題
- 介護者のミス
と分かれます。
目次
利用者本人の問題
まず根本的に、利用者が転倒・転落するのはなぜなのかというと「利用者が安全ではない方法で移動しようとするから」です。
わかりやすい言い方をすれば、「利用者が言うことを聞いてくれないから!!」となるわけです。
ではなぜ言うことを聞いておとなしくしていてくれないのか?私が現場で心がけている転倒防止法は、この「なぜ?」を大切にすることです。
利用者を制止する前に考えろ
間違えてはいけないのは「プロだから我慢しろ」ではないということです。「プロだから理解しろ」です。科学的に思考して、分析した上で行動する。これがプロです。
利用者が動くのには、たとえ認知症状が強く出ていても必ず理由があります。
それは「どこかに行かないと」という具体的な理由かもしれませんし、「漠然とした不安感」で今いる場所では落ち着けない、かも知れません。
ですが、それを聞くだけで落ち着いてその場にとどまってくれることもあります。まずは利用者の心を落ち着けること、これがまず大切なのです。また、身体的状況も影響します。
特に、片麻痺の方の麻痺側の視野は狭くなっていますので、そちらになにかあってもわかりづらい。心因性頻尿のある人は、トイレに行っても落ち着かない。それらは、身体構造を理解したうえでそれぞれに応じた対処をすることで落ち着くことがあります。
環境整備の問題
次に、利用者が安全な方法で移動していても転倒する原因として考えられるのが「周辺環境が安全でなかったこと」です。
- 床面が濡れている、乾きすぎている、物が多い
- 壁に手すりなどつかまるところがない、利用者の身体状況に合っていない
- 何か興味を引くものが遠くにある
- 歩行補助具が遠い、またはない
- 暗すぎる、明るすぎる
これらの原因を再確認してみてください。
これらの原因を排除することで、防げる転倒事故も多いと思います。
介護者のミス
あってはならないと思いながら、それでもあるのが介護者のミスです。原因が疲れにあるのか、ストレスにあるのか、それとも知識不足か。日本のお偉いさんは知識不足を補おうと必死ですね。
ですが、現従介護士の私に言わせれば原因はほぼ「疲れ+ストレス」だと思います。
疲れ、ストレスに関しては人員不足という我々ではどうしようもない問題も原因となっていますが、ストレスや疲れは解消することができます。
事故の原因はストレス!?ほんまでっか
自分にあったストレス解消法を見つけることで、楽しく介護をする。
私が現場にいて、もっとも介護事故を防いでいる方法と言えば「介護を楽しむ」これに尽きると思います。
知識は、介護が楽しいと思えれば自然についてくるものです。
本当は30歳から始まっている!?誤嚥事故!
「誤嚥(ごえん)」…それは、口から入った食べ物が胃に入らないことをいいます。
ではどこに行くのか?…食道で止まったり、気管に入り込んだり、鼻のほうへ逆流したりするのです。考えただけで恐ろしい。
文字通り死にいたる事故です。主な原因は二つです。
- 食べる機能が弱っている。
- 食べ物があっていない。
食べる機能が弱っている
食べる機能と言っても、実は細かくいろいろあります。
「これが食べるものだ」と認識する認知機能。「食べ物を口に入れておく」口唇機能。「噛む」咀嚼機能。食べ物を送る「口腔機能」、「飲む」嚥下(えんげ)機能。
認知機能以外の能力に関しては、「言語聴覚士(ST)」というリハビリのプロの力を借りることになります。
言語聴覚士の指導の下、嚥下訓練を行ったり口腔体操(パタカラ体操など)を行うことによって口それ自体の能力を高めることで誤嚥を防ぐ方法です。
認知機能に関しては、脳の能力が原因ですので、私たち介護士の腕の見せ所です。
コミュニケーションを使って利用者の興味を引く、リズムをとって本能的に食べられるように介助する、また、普段からの脳トレで認知症の進行を緩やかにしてそもそも食べられることを忘れさせない。
いろいろな方法が取れますが、介護職がどのように接触するか、が誤嚥を防ぐためにとても重要です。
食べ物があっていない
食べ物自体にも、誤嚥しやすい食べ物と誤嚥しづらい食べ物があります。
以下に、誤嚥しやすい食べ物を並べます。
- さらっとした水分
- パンなどのぱさぱさした食感のもの
- こんにゃくなど、細かくなりにくいもの
- キャベツや寒天など、細かくなりまとまらないもの
- もち、のり、生卵などのどや口に張り付くもの
- 二種類以上の食感が混ざっているもの(コーンスープ、にこごりなど)
- 人肌の温度の食べ物、熱すぎるもの
誤嚥事故を防ぐため、これらを避けるように調理担当者と連携をとりましょう。
逆に、誤嚥しにくい食べ物というものもあります。
- 食感が統一されていてすべりがよいもの(ヨーグルト、プリン、豆腐など)
- 片栗粉やとろみ調整剤などを使ってとろみやあんかけをつけたもの
- やわらかく、ばらけないもの
人間だもの…仕方ない…では許されない!薬の飲み間違い!
私の職場で特に急増しているのが、この薬の飲み間違い、飲み損ねである「誤薬」です。薬剤管理は、調剤は医師から薬剤師、提供は看護師という医療専門職が行う医療行為です。
薬剤には用法用量を守らないと人体に激しい影響のあるものがほとんどで、非常に危険なものであるという認識だからです。
ところが…
厚生労働省より「一包化された薬の提供およびその見守り、確認」に関しては医師法17条(医療行為)にあたらない行為であり、
介護職が行うことができます。
そのため、看護師がいる介護施設では、一袋に入った薬をある程度の人数まとめて介護職が受け取ることがあります。
この際、名前がそれぞれ記載されているのですが、読み違えたり開け間違えたりすることによって薬が一袋丸々ほかの人に渡ってしまったり、一つつみに多量の錠剤がいっぺんに入っているため、落としてしまったりすることがあります。
これらを防ぐために、私の勤める施設ではわざと取り出しづらい形のケースに入れることによって誰の薬を誰のところへ届けるかに集中するようにしたり、薬剤師から薬を渡された後、6回もの確認を別の人が行うようにしています。
服薬介助は危険が伴う行為ですので、介護士ひとりひとりが注意するだけでなく、施設単位、他職種との協力体制をとって事故を防いで行く姿勢が大切です。
まとめ
いかがだったでしょうか?できれば見たくない介護事故。
事故を減らしていくのは、日々の皆さんの心がけと正しい知識、施設単位の事故防止へ向けた姿勢です。
事故を防げるような意識高い系介護士として、楽しい介護ライフをぜひ!