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老健1日体験仕事内容はどんな感じ?あきる野市の介護老人保健施設さくらに取材にいってきた

みなさんこんにちわ、かいごろく編集部の冨川です。

今回は「介護の現場1日体験」企画です。この企画では

  • 「介護の仕事に興味はあるけれど、介護施設って色々あってわからない」
  • 「実際どんな仕事をしているの?」

こんな疑問をもっている人達に対して、各介護施設で私が実際に1日働いて「この施設ってこんな感じだよ〜」と施設の違いや仕事内容をわかりやすく解説していきます。

第1回目の今回は老人保健施設の仕事を1日体験!

「これから老健で働いてみたいけれど何をするのかわからなくて不安…」なんて人は是非参考にしてみてくださいね。

まずは1日の流れを紹介

東京都あきる野市にある”老人保健施設さくら”さんに取材協力を頂き1日体験スタートです。

老人保健施設(以下老健)は24hの介護施設なので介護職員の働き方としてはシフト制で大きく分けると、夜勤(16:30~9:00)と日勤(8:30~17:30)に分けられます。

今回の取材では日勤のお仕事に密着。

時間を追って介護職員がどんな仕事をしているのかを解説していきたいと思います。

8:15〜体験スタート!

制服をお借りしてさっそく着替えてみました。

着替えが終わりテンションがあがる冨川(気分はコードブルー)

今回お世話になった職員のみなさん。とっても優しかったです!

(ちなみにさくらさんの制服は看護師さんが白衣・スクラブ。介護士さんはピンクのポロシャツとスラックスだそうです。)

8:30〜申し送り

そうこうしているうちに申し送りがはじまりました。

今までの明るい雰囲気から一変、真面目モード。

申し送りとは、入所している利用者さん一人一人の体調の変化や夜間の様子などを夜勤→日勤者に伝える事・引き継ぐ事です。

さくらさんでは申し送りはフロアー毎(50人×2フロアー)に行うみたいですね。

なので、夜勤を担当した介護士さんは50名の利用者さんの情報を申し送る事になります。

申し送りを終えた井上さんに話を伺ってみました。

冨川

申し送り大変そうですね。何か送る時のコツとか注意する事とかあるんですか?

井上さん

申し送る時間は15〜20分を目安にしているので、必要な情報だけを”ギュッ”としぼって簡潔に申し送らなければいけません。私はメモを活用して送る事は自分でまとめてから申し送りに挑むようにしていますね。

冨川

15分で50名は大変ですね!

井上さん

きっちり送りが終わった時には達成感がありますよ

ちなみに同じ老健でも50名の申し送りに1時間近く時間をかける施設もあるそうですが、さくらさんでは申し送り時間をできるだけ短縮して、利用者さんと関わりに時間を設けるようにしているらしいです。

9:00〜排泄介助

申し送りが終了したら、次は利用者さんの排泄介助(オムツ交換)です。

さぞ大変なんだろうと思い、近くにいた職員さんに「何人くらいオムツに入るんですか?」尋ねてみると、オムツを使用している利用者さんは50人の中でも数人だけなんだそうです。

なんでも老人保健施設は在宅復帰を目的とした施設の為、なるべくオムツに頼らず出来る限りはトイレでの排泄(トイレ誘導)が出来るように支援しているんだとか。

なるほど〜。

介助者としてはオムツ交換の方が楽なので、ついオムツに頼りがちになってしまいますけどね〜。

そんな事を話している内にもどんどんトイレへ競うように向かってくる利用者さん達。すでにトイレ前には列をなしていました…。

私も老健で勤めた経験があるのですが、老健は特別養護老人ホームや有料老人ホームなど施設系の中でも断トツにトイレ誘導を行う回数が多かったです。(たしかにトイレ動作ができないと自宅での生活って難しいですからね)

「在宅復帰を目指す老健ではトイレ誘導が多い」

は老健の特徴ともいえますね。メモメモ

10:00〜水分補給

取材した月は7月で、外気温は38℃の猛暑日。

熱中症対策として利用者さんたちへポカリスウェットや麦茶を提供します。

(さくらさんではシーズンや嗜好に合わせてコーヒや昆布茶なども提供しているそうです)

利用者さん達はこの時間を楽しみにしているようで、飲み物の乗ったカートを見てとても嬉しそうにしていました。

どのくらいの量を飲むのか近くのスタッフにきいてみると…

職員さん

一回の水分摂取量を100~200㎖と抑え1日数回に分けて提供するようにしています

職員さん

100〜200㎖だと湯のみ茶碗一杯〜マグカップくらいですね。若い人だとペットボトル1本(500㎖〜)とか一気のみですけど、高齢者は一回に沢山の量を飲めないですから

まぁたしかにペットボトルをごくごく飲む高齢者ってあんまり見た事ないかもしれません。

つまり、水分量の管理も老健介護スタッフの仕事の一環ってことですね。

10:30〜体操

水分補給が終わり、一息ついたところで利用者さんたちがホール兼食堂に集まってきました。

なんだ?と思って見ていたら毎日行なっているリハビリ体操の時間のようです。

体操レクを教えてくれるのは美人の伊藤さんです。(写真右)

「ぜひ参加してください」とお誘いを頂き嬉しそうに参加する冨川↓

車椅子の利用者さんも一生懸命に『1!2!3!』としっかり声をだして体を動かしてくれています。

冨川

これけっこう大変ですね…

伊藤さん

しっかりやるとそれなりに疲れますよね(笑)

冨川

体操はオリジナルですか?

伊藤さん

いやいや、きちんとマニュアルがありますよ。見てみます?

冨川

ぜひぜひ

冨川

これならわかりやすいですね

伊藤さん

入ってすぐの新人さんでもなるべく同じように体操できるように作成しています。それでも間違いがあれば、利用者さんが指摘してくれますけどね(笑)一番体操を覚えているのは利用者さんです

冨川

たしかに利用者さんは毎日ですもんね(笑)

12:00〜食事介助

あっという間にもうお昼です。

本日のメニューは…

  • キーマーカレー
  • 枝豆サラダ
  • フルーツ
  • 牛乳

はっきりいってめちゃくちゃ美味しそうです!

ちなみにカレーにのっている野菜は三浦県産のおいしい夏野菜なんだとか。カレーの匂いが食欲をそそります。

こちらは歯が悪くて硬いものが食べられない利用者さん用に、食事をミキサーに軽くかけ形態を落としてあります。

 

その他、「カレーが嫌い!」なんて人がいれば嗜好に合わせて提供するものを変える事があるようです。また、嗜好以外にも心臓病・糖尿病など病気に合わせて塩分制限やカロリー制限をして、個別メニューに切り替える事もあるんだとか。

たしかに100人いれば100人の好みがありますからね。

これがいわゆる個別性ってやつですね!メモメモ

 

こちらは食事介助中の風景です。

さくらさんでは介護スタッフに限らず、看護師やケアマネジャーも、時には食事介助に参加する事があるそうです。

13:40〜入浴

食事も済んで、お腹が休まったところでお風呂へ。

入浴シーンはさすがにカメラに収められないので、浴室の写真だけ撮影させていただきました。

お風呂場を開けた瞬間「お〜!」と声が出るくらい広い浴室。(ちょっとした町の銭湯よりでかい?くらい)写真右奥には入浴専用の車椅子に乗ったままお風呂に入る事ができる”チェアー浴”という機械も。

大きな浴室以外にも寝たまま安全に入浴できる”リフター浴室”というのもありました↓

なんでも、一人に対してお湯を一回ずつ交換するので衛生的なんだそうです。

入った事のある職員さんの話ではジャグジーも付いているから快適とのこと。私も入りたいくらいです。むしろ家に欲しい(きっとお高いんでしょうねぇ…欲しいなぁ…ジャグジー)

おっと業務的な事を言い忘れていましたね。

さくらさんの入浴介助は通常、中・外・誘導の計7人の職員で介助にあたるそうです。

”中”の役目になった人は浴室で体や頭を洗うお手伝いをして、浴槽に浸かるまでがメインの仕事となります。

”外”の人は濡れた体を拭いて、着替えのお手伝いや髪を乾かす事がメイン。

”誘導”の人は浴室までのエスコート。入浴後は軽く水分をとってもらい、食堂までの送り届ける仕事となっているようです。

スタッフの皆さん猛暑+浴室の温度で汗が滝の如く流れていました。

エアコンで温度を下げればいいのでは?と思うかもしれませんが、入浴後に部屋の温度を下げすぎると温度差で利用者さんが風邪をひいてしまうかもしれないとの配慮だそうです。

本当に夏場の入浴は大変ですよね。介護スタッフの皆さんも合間で水分をとりながら一生懸命でした。

こうした入浴介助も老健の介護スタッフの大切な仕事の一つですね。

14:30〜レクリエーション

老健と言えばレクリエーションです。

レクリエーションは麻痺した腕のリハビリ・認知症予防などを兼ねているので、在宅復帰を目指す事が目的の老健では、力をいれて取り組んでいる業務の一つ。

さくらさんでも、レクリエーションにはかなり力を入れている様です。

下の写真はお手玉をボーリングのピンに当て、倒した本数を競い合う”まと当て”風景。

実際にやってみましたが、結構難しいんですよコレ。(そして疲れる)

しかし、50人も利用者さんがいれば中には「体は動かしたくない」なんて利用者もいます。そんな方には、折り紙を使った共同作品の作成や”かるた”など様々な事を催して、少しでも多くの方の参加を促しているようです。

同時刻、”的当て”に参加していない利用者さんは”いろはかるた”を違うテーブルで楽しまれていました。

私も”いろはかるた”に参戦です。

つい本気になってしまう冨川↑

利用者さんもかなり”本気”です。最後には「それ私が狙っていたのにー!」と怒られてしまう始末。手は抜けません。

レクリエーションに参加してみて印象的だったのは、利用者さんはもちろん、業務にあたるスタッフそれぞれが心から楽しんでいるように見えた事。

確かに自分が楽しくないと他人は楽します事はできませんよね。

15:00〜おやつ

レクリエーションを終えて食堂に戻ると食堂ではおやつの時間のようです。

本日のおやつメニューはクレープ。普通に美味しそう。ちなみに紅茶付きです。

16:00〜見守り

その他業務を紹介すると特徴的なのは”見守り業務”ですね。

見守り業務とは

利用者さんの要望にすぐ反応出来る様・転倒予防としてフロアーには必ず一人の職員を配置する、読んで字のごとく”利用者さんを見守る”事

老健は車椅子利用と歩行可能の中間くらいの利用者さんが多い施設の為、どうしても利用者さんの転倒事故も発生しがちです。

そんな転倒事故を可能な限り減らしていくのも老健の業務の一つと言えますね。さくらさんでも様々な転倒予防対策を施設全体で取り組んでいるようでした。

17:00〜夜勤への申し送り

朝の申し送りの反対で今度は日勤者から夜勤者へ50人の利用者さんの状態を申し送りして日勤のお仕事はあらかた終了です。

〜17:30就業!

いや〜疲れました(笑)

さくらさんへのインタビュー

最後にお世話になった猪狩師長さんと、介護職の長である大石介護長にお話を伺いました。

ズバリ老健の役割ってなんですか?

冨川

まずはズバリ老人保健施設の役割とは?

冨川

ざっくりでいいんです。初心者でもわかる感じで

猪狩師長

ざっくりと言えばやっぱり”自立支援”と”在宅復帰”がメインの施設と言えばいいかな?つまり、入所しているおじいちゃん・おばあちゃんが家に帰って生活出来るようにする為の施設って事ですね

冨川

在宅復帰ですか〜福祉施設の大きな課題ですよね

猪狩師長

そうですね。その為には医師による医学的な管理、看護・介護スタッフのケアー。PTやOT・STのリハビリテーション。管理栄養士の栄養管理などなど、様々な職種が利用者さん一人一人にしっかり向き合っていかなければ実現できない事だと思っています。これが老健の役割です

未経験や無資格でも老健は務まる?

冨川

これから未経験や無資格で老健に勤めたいって人へ向けてアドバイスとかあればお願いします

猪狩師長

看護師さんの場合だと、老健にくる人ってもう病院とかで勤めてきて経験豊富な人が多いんですよね。でも介護さんの場合は未経験だったり、無資格の人も結構多い

冨川

やっぱそれなりに経験ないとダメですか…?

猪狩師長

いやいやその逆でね、全然OK。さくらでも未経験から入った人って沢山いるんですよ、その人達も最初は覚えるまでにそれなりに大変だったとは思いますが、今は主軸になって支えてくれている、いなきゃならない存在になってる。本当に助かっているんですよ。

冨川

へーそうなんですね、覚えるまでが大変って感じですかね?

猪狩師長

そうですね。あくまでも専門職ですから

冨川

なにか新人教育で気をつけている事とかありますか?

猪狩師長

これからは新人教育も”可視化”する事が大切だと思っています。YouTubeを使っていったり、わかり易い資料を作ったり。なるべく未経験の人でも働きやすい環境作りをしていきたいと現在奮闘中です

冨川

これなら新人さんも安心して仕事が出来そうですね

これからの老健に求められる人材は?

冨川

どんな人材に業界に来て欲しいとかありますか?

猪狩師長

今って”在宅に向けて頑張ってください”って国からの指針も出ていて、老健に求められる事が多い時代になっているんですよね。なのでこれまで以上に”マンパワー”が必要になってきているんですよ。なので若い世代の人たちがどんどん”介護の仕事”に取り組んでいってほしいって思ってますね

冨川

逆に30、40代の人はどうです?

猪狩師長

若い世代に介護に取り組んで欲しいとは言いましたが、もちろん30代、40代の人にも頑張って欲しいと思っていますよ

冨川

働くのも問題ないですか?体力や知識は?

猪狩師長

そうですね。年齢を重ねてから無資格・未経験でってなると心配もあると思いますが、1から覚えるのは若い人も同じですからスタートラインは変わりません。どうしても肉体労働なので疲れるかもしれませんが、出来ないって事はないと思います。うちでも50台で活躍してくれる職員はたくさんいますから(笑)

老健で働くメリットは?

冨川

老健で働くメリットって何かありますか?

猪狩師長

老健の仕事はアンテナを立てて仕事に取り組めば成長できる環境だと思っています。他職種の方々と共に働ける環境もそうですし、様々な疾患をお持ちの方々がいらっしゃいますので、日々勉強も必要となります。学びの場であると思えばそれがメリットとも思います

冨川

なるほど、それは老健ならではかもしれませんね。

逆に老健で働くデメリットって?

冨川

逆に老健やっててきついなぁみたいな事とかあれば教えてください

猪狩師長

看護師でしたら、夜間がきついですね。夜間は一人で看護業務を行わなければならないので。きついっていうより正直”怖いな”って思う事はあります。まぁ、もちろん緊急時はDrに電話で指示を仰ぐ事はできるんですけどね。それでも怖いと思って”緊張感”を持ちながら仕事はしてます

冨川

なるほど〜たしかに夜間は看護師さんの重圧ってありますよね

冨川

介護職の方はどうでしょう?

猪狩師長

そうですね。やはり老健ですから病院ほどではないにしろ、様々疾患をもっている人がいらっしゃいますから、あくまでも施設レベルではあるんですけど、疾患に合わせたケアーだったり知識だったりが介護さんにも必要になってくると思いますので、それがきついと感じる人もいるかもしれません

冨川

なるほど〜病院と施設の中間みたいな?

猪狩師長

そうですね〜なので体力も時には必要になります

猪狩師長

ですが逆にそうしたきつい事の中にも、やりがいがあるので続けていられると私は思っています

ぶっちゃけ給料は?生きていける?

冨川

最後になりますがぶっちゃけ介護で食べていく事はできるんですかね?

猪狩師長

そうですね。介護職ってどうしてもそういう低賃金なイメージありますよね?でもたくさんの人が現在も働いているわけですし、介護の仕事はこれからの日本を支えていく職業だと思いますので、現実問題として改善や変化が求められる部分でなければならないと思います

冨川

たしかに今は処遇改善とかで給料面も改善されてきていますよね

冨川

それでもちょっと金額的に弱いといいますか…

猪狩師長

そうですね。だけど過度な心配する事はないと思います。ちょっと難しい話になっちゃいますが処遇改善もそうですけど、クリニカルラダーとかキャリアパスとか、頑張っている人にはきちんと評価されて、その評価が給料にも反映されていくように、どんどん介護・医療業界も整備されていっていますから。これからだと思いますよ

冨川

たしかに今は処遇改善とかで給料面も改善されてきていますよね

大石介護長

「ガチャ」「すいません、お風呂手伝って遅くなっちゃって!」

冨川&猪狩師長

あ、終わっちゃいました(笑)

冨川

では最後に写真だけでも、話してる風な感じで!」パシャ!「はいOKです!

まとめ

駆け足ではありましたがこれで、1日体験もこれで終了です。

実際に働いてみて思ったのは「在宅復帰に向けて介護をしてる感がすごい」という事です。不要な介助を減らして、できる限り自立した生活を送ってもらうよう努力している感じがしました。

また、介護職員が「時間に縛られていない、職員それぞれが状況に合わせて考えながら臨機応変に動いている」言い換えれば「自由」に仕事が出来ているという印象をもちました。

これから介護職を目指す人にも、特養や有料で疲れてしまった人にもオススメできる施設だと思うので興味を持った人はぜひチャレンジしてみてくださいね!

最後に老健の特徴をまとめておいたので参考になればと思います。

老健の特徴

  • 在宅復帰を目指す施設なので過度な介助はしない(日常のケアーにリハビリを取り入れている)
  • 成果の見えづらい介護業界だが、老健の場合リハビリに力を入れているので成果が目に見える(やりがいに繋がる)
  • 他施設と比較して、レクリエーションに割く時間は多い
  • 様々な疾患をもった高齢者が相手なので、医療的な知識がつく
  • 他職種が関わる施設