皆さんごきげんよう。
介護施設の求人情報を見ていると、大きく3種類に分かれているのがわかります。介護士としての募集、看護師の募集、そして生活相談員の募集です。
場所によっては、「相談員」や「支援相談員」などとも呼ばれていますが、この「相談員」とは一体何者なのか!?私にもできるのか!?どんな人がなるのか!?
おそらく、介護に詳しくない方にはなじみのない職種かもしれませんね。今回は、この謎に包まれた「相談員」についてズバッと解決していきますよ!
目次
生活相談員は何をする仕事か?
生活相談員…介護老人保健施設(老健)では支援相談員といわれ、介護老人福祉施設(老人ホーム)では生活相談員と呼ばれるこの求人…
介護職はもちろん食事介助、入浴、排泄、就寝などの介助を行うんだろうと大体想像はつきますが…相談員とは何者なのか?これについて説明します。
生活相談員は介護をしません!
まず、皆さんにばっさりとわかっていただきたいのは、生活相談員は「介護をしません」!!
というのも、生活相談員の仕事というのはたびたびこのように書かれています。
生活相談員の仕事は利用者と利用者の家族、そしてケアマネージャーとの処遇の調整であり、施設入退所の手続きや、個別援助計画の策定、ケアプラン作成、カンファレンスの参加、それらに関わる相談業務です。
つまり、相談と書類整理と苦情処理がメインの仕事である、事務職であるということをわかっていただきたいのです。
生活相談員は施設と外部のパイプ役です!
生活相談員の仕事は、利用者と家族、そして施設職員と、他業者との調整です。
たとえば私が勤めているのが老健なので、その相談員の話をしますと、相談員がでてくるのは「家族と職員の間の要望のやりとり」や「入退所、転ベッド(施設内で引越しをすること)の設定」です。
生活相談員はチームケアの重要な一端を担います!
上記のように、生活相談員は介護をしません。だからといって、介護に関わらないわけではありません。
ある利用者について、どのようなケアが必要なのか家族と会議をすることによって見極めるのは相談員の仕事ですし、その結果どのような専門職が必要かを見極めるのも相談員の仕事です。
ぶっちゃけて言えば、「この施設にいてもいいのか、無駄なのか」を見極めるのは相談員ということです。
介護職の側から考えれば、相談員が正しい情報を持ってこなければその人にとって正しい介護ができません。
相談員は、利用者を取り巻く介護力の輪の中でも重要な役割にいる仕事ということがわかったことでしょう。
生活相談員になるには?どんな人が求められるのか?
生活相談員についてある程度わかったところで、次に「実際に生活相談員になるにはどうしたらいいのか」というところについて説明したいと思います。
生活相談員になる資格
生活相談員になる資格として、社会福祉法はこのように定めます。
- 社会福祉主事任用資格者
- 社会福祉士
- 精神保健福祉士
また、これらのほかにも、都道府県が別途認めた資格・要件で生活相談員になることができます。
よく上がっているのが、
- 介護支援専門員(ケアマネージャー)
- 介護福祉士
- 老人福祉施設の施設長経験者(老健の施設長である医者などが該当)
- 一定程度の介護職経験者
などです。これらのどれかに当てはまれば、相談員になる資格があります。
どんな人が求められるのか?〜一般論〜
相談員の仕事は外部との折衝がメインですので、まず、家族や利用者と密にコミュニケーションが取れる人がいいでしょう。
そして、利用者や家族のつらさ、寂しさに耳を傾けてニーズを聞き取り、心に寄り添って親身になれる人が良いでしょう。書類仕事を淡々とこなせる人が向いています。
そして何より、外部との折衝がメインとなりますので、介護業界に顔の広い人が有利です。
どんな人が求められるのか?〜現役介護福祉士の私見〜
ここからは私だけが考えている「生活相談員に必要とされる能力」ですが…
生活相談員には、上記要件に当てはまれば就くことができます。…というのは、あくまで「法律上」の話。
実際にどんな生活相談員が職場に必要かというのは、この要件だけでは足りないと考えます。まず、大前提として「介護経験のない相談員は不要」といえます。
介護現場にいたことのない相談員が、介護のつらさの何がわかるというのでしょうか。
国の定める社会福祉主事任用資格者・精神保健福祉士の資格は、授業を受けたり試験に通ったりすれば介護現場での経験が0でも相談員になれます。
介護を仕事としてやったことがないのに、家族がどんなことにつらさを持っているのか?介護職がどんな人にどんな介護を提供するのか、できるのか、すべきなのかについて何がわかるというのか?
答えはノーですね。
愚痴っぽくなりますが、皆さんに現場の惨状を知っていただきたいので書きます。
介護実務についたことのない相談員のいる施設は、「今日初めて高速道路に乗るペーパードライバーの助手席に乗ってドライブ」してるのと同じです。
困難事例が発生しても知らん振り、事故が発生すればすべて職員の責任、新しい利用者がどんなADL(その人が何ができて何ができないかというデータ)なのかがさっぱりわからない、結果普段どんな介護をその人が受けているのか理解できない…
こういうことになります。
これは、利用者にとっても、家族にとっても職員にとっても施設にとっても、ひいては介護業界にとって非常に危険な存在となります。注意しましょう。
次に、相談業務が主なのですから、人の話を聞き、議論ができる人こそ相談員であるべきです。
自分の意見を押し付けず、見識を広く持ち、多角的に物事を見て分析できる、その上でただしくニーズをつかみ、自分の考えを指摘できるそんな人こそ相談員であるべきです。
完璧であれとは言いませんが、相談員はかなり人格に左右される職種といえます。相談員はチームケアの一員ですから、介護士やケアマネージャーは手下ではありません。
家族と同じように、公平な相談をして、議論をして、的確に情報を得てその上で判断をする。これこそが現場職がもとめる「使える」相談員です。
…わかりましたか?つまり相談員は「介護上級者向け」の職種だということです。
実際のところ、生活相談員のお給料は?
みなさん気になる最後のポイントはやはり収入面だと思います。
生活相談員は介護現場職と会話する機会が少ないので、つい収入がどうなっているのかな?なんてところは良くわからないと思います。
収入は20万〜22万程度。多くもなければ少なくもない?ただし伸び代がある!
実際のところ、生活相談員の収入は施設の待遇や、経験、基礎となる資格などによって違うので明確にはいえないのですが、月収は20〜22万程度とされています。
年収にすると350万程度ですね。
ただし!生活相談員は施設によってはそれなりの力をもつ存在になりえます。そしてその力次第では年収5、600万円程度までは上がる事も!
ズバリ!働く場所が肝心だと言えるでしょう。
せっかく相談員として働くならお給料がいいところを選びたいですよね。近年では介護の転職はネットで探す時代です。
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重要なポイントは、一回の金額よりもその長さ
生活相談員は事務職です。体を壊しがちな介護現場では、平均的に退職年齢が低くなりがちといわれています。
一方、生活相談員のように事務職では、体を壊して退職という道は現場に比べてかなり少ないです。つまり、現場職よりも長く勤めることができるので、勤続昇給が見込めるということです。
同じ職場に長く勤められれば、それだけ退職金は増えていきますので、お得という考え方もできますね。
まとめ
いかがでしたでしょうか?生活相談員についてざっくりとご紹介してきました。
生活相談員を簡単にまとめると、以下のとおりです。
- 現場と家族と外部をつなぐパイプ役
- 収入は20~22万、年収350万程度
- 労働職ではなく事務職で、年齢が行っても働ける
- 資格の増減によって収入が変わる
これを好条件と見るかどうかはあなた次第。
ぜひ、「現場に疲れたなぁ」と思ったときには「生活相談員」を考えてみてください。