みなさんが日々接することになる利用者の日常を記録する「介護記録」…苦手な方も多いんじゃないでしょうか。
介護記録は覚えてしまえば時間も掛からずすらすらと書く事ができるのですが、慣れないうちは残業して記録…なんて事もありますよね。
そんな方の為に今回は
- 介護記録の最低限おさえるポイント
- 早くかけるようになる為のコツ
などを踏まえて「介護記録ってこう書くといいですよ」「実は簡単ですよ」
ということに特化して介護記録の書き方を解説していきたいと思います。
目次
介護記録とは
介護記録記録を書く前に介護記録とは本来どう使われるものなのかを理解しておく事が重要です。
今まで適当に書いて介護記録使われかたを理解する事で、書く意識が変わってくると思いますよ。
ケアプランの為
当たり前ですが利用者さんは一人ひとり状態が違います。
例えば、頭はしっかりしているけれど歩けないAさんもいれば、物忘れが強いけどしっかり歩けるBさんの二人がいたとします。
当たり前の事ですがこの二人に対して同じような介護(ケアー)はしませんよね。
受けたい介護サービスも利用者さん一人ひとり違います。こうすると個人に合わせた介護のプランやリハビリなどの目標が必要になってきます。
こうした個々に合わせた介護の内容を書いた書類をケアプランと言います。
介護サービスを提供する事業所はこのケアプランを立てなければいけません。
またケアプランは日々変化する利用者さんの状態にあわせて更新していくルールがあります。
介護記録をしっかり書いていないと変化がわかりづらくなり、いつまでも同じサービスしか受けれないなんて事になるかもしれません。
介護記録をしっかり書いてあることで日々の状態の変化がわかりケアプランの更新時にとても役立つわけです。
情報共有の為
介護記録は情報の共有の為にはとても重要な書類になります。
例えば夜勤で仕事に入ったとします。
巡視をしていたらある一人の利用者さんがうめいていて汗で衣類が濡れています。熱を測ると38.0℃もありました。
日中の様子はどうだったんだろう?
と気になりますよね。こういった時に日中の様子を介護記録に書いてあるとすごく助かります。
逆に夜間の様子も
”眠れないと話され2時〜6時までベット上で読書をされていた”
と記録を残す事で、日勤の職員は「昨日眠れなかったから元気がないのかもしれない」「今日は体操も無理しない程度にしよう」とケアーにも幅がでてきますね。
また、急な体調不良で介護施設から医療機関に受診しなければいけない時があります。
こうした時に必ず医師から普段の様子を聞かれるのですが、介護記録の内容がしっかり書いてあればとてもスムーズに受け答えする事ができます。
介護記録はこういった情報の共有・伝達にとても役に立つのです。
証拠の為
介護施設で事故や急変が起きた時に訴訟問題まで発展してしまうケースがあります。
こうすると当然「事故当日の状態が知りたいので記録をみせてください」と記録の開示を求められます。
記録をしっかりと書いていれば問題ないのですが
仮に事故当日の記録に不備があったり誤りがあった時に、いくら適切な介護をしていても事業所全体の責任を問われる事になります。
こういった事にならない為には、介護記録は正当性を証明する”証拠書類”としてきちんと書く必要があるのです。
コミュニケーションの為
家族から「今日は調子どうでした?」と聞かれた時に、介護記録に日々の様子が書いてあれば『今日は〇〇をしていたようですね』など記録内容を伝える事で家族とのコミュニケーションに役立てる事もできます。
また家族からの要望・意見・生活歴などを記録しておけば介護の質の向上に繋がりますよね。
書き方のポイントとコツ
書き方はポイントとコツを掴む事が重要です。
記録を書く時に気をつけたい事をまとめてみたのでぜひ参考にしてみてくださいね。
専門用語は使わなくてもいい
介護記録は専門家ではない人が見る可能性があるのですから、専門用語を無理に使う必要はありません。
みなさんが自分の家族に説明すると思って書いてみるといいでしょう。とにかくわかりやすく、読みやすいことが大切です。
ですが、専門用語を使う事で記録を短縮する事ができます。
特に長い文章を書くのが嫌いな人は、覚えたほうがいいと思います。
たとえば、「ベッドの端に足を下ろして、柵につかまりながら座っている状態」を発見したとします。これを、専門用語で「端座位」と3文字で説明できます。
たとえば、「歩くたびひゅーひゅーと笛を吹くような呼吸をしている」ことを、「喘鳴」(ぜんめい)と2文字で表現できます。
「わけもわからずあちこちに動き回る」状態を「徘徊」(はいかい)と表現できます。
文字数が減ると、なんだか記録するのも簡単に思えますね。
専門用語は自分が説明できる範囲で使う、きちんと理解していないのであれば使う必要はありません。その時の状態を書けばいいのです。
文章は短く内容は濃く
先輩介護士の中には、「介護記録を短くしろ」という指導をしている介護士もいるようですが、これは決して「内容を少なくしろ」という意味ではありません。
専門用語を使って表現を省略することで、「一見してわかりやすい記録にしろ」という意味です、内容が多いのは記録としてはいいことです。
文章は短く、内容は濃く。これが記録の理想形です。
客観的に書く
「客観的」
これがどうやら非常に難しく考えている方が多いようです。
介護福祉士の試験にも頻出でこの「客観的」の話が出てきます。
「客観的」というのは「主観的でない」ということです。
「主観的」とは、一言で言うなら「自分の心の中のこと」です。
「~だと思う」「~だと考える」「~ではないか」という、不安定な内容は、記録としては十分ではないのです。
みなさんは、「気分が悪そうに見える」と「気分が悪いのだと思う」の違いがわかりますか?
見えるのは、何らかの根拠(顔色が悪い、細かく震えている、息が荒いなど)があって目で見ているその場の状況であって、他の人が見ても判断こそ違えど同じような情報を得ることができます。
思うのは、根拠が無いかあまりにも薄く、判断に迷っているときの状況であり、人によって感じ方がまちまちです。
あいまいな情報を記録として残すわけにはいかないということですね。
客観的な情報の最たる例としては、「機械で測ったもの」と「皆さんの五感」です。
5W1H
5W1H…今は5W2Hなども知られていますが、記録は1Hで十分です。
- 「Whenいつ」
- 「Whereどこで」
- 「Who誰が」
- 「What何を」
- 「Whyなぜ・どうした」
- 「Howどのように」
これが5W1Hです。
つまり、時間と場所と主体と相手と行動と理由をしっかりそろえて書く、ということです。
5W1Hで記録を例えてみましょう
悪い例
「夜間帯に転倒がありました」
5W1Hのいい例
「午前2時20分、○○さん居室内、ベッド脇にて○○さんが居室入り口に頭を向けた状態で倒れこんでいるのを発見した」
がいいでしょう。
悪い例の夜間帯に転倒がありました。だと、その一文をある人が見れば「明け方かな?横倒しになったのかな?」と考え、
またある人は「寝る前かな?座り込んだかな?」とぜんぜん違う情報が頭の中に展開されてしまうのです。
ですが、いい例では「2時20分」と指摘がありますので、記録をみた人全員が「あぁ夜中の2時20分ね」と理解できます。
「倒れこんで」と書いてあるので、座り込みでもないですね。
このように記録は、それを読んだ人の全員にその状況を説明するためのものですので、記録を見た人全員に同じ情報が伝わらなければ意味がありません。
そのために、5W1Hはとても大切なのです。
丁寧語は基本使わない
通常、記録という場合には打ち切り語を用いることが多いです。
打ち切り語とは
- 「熱が37.7℃だった」
- 「発見する」
- 「というような行動があった」
などですね。
一方、介護者と利用者という関係から、「利用者が行ったこと」については丁寧語を用いることが多く見られています。
またデイサービス等では家族との関わりから丁寧語で記録を書く事も珍しくないようです。
例えば「体操に参加される」「苦痛表情を浮かべ呼吸をされている」「レクを楽しまれる」ですね。
しかし敬語・丁寧語は表現の仕方によっては書き手の心情が影響する事もあり記録を書く上では適さないとされています。
基本は敬語・丁寧語は使用しないで書くという事を覚えておくといいいしょうでう。
字はわかりやすく書く
重要な要素に、わかりやすい字で書く!ということがあります。
かつて、医師はカルテに書いてある情報が重要すぎて、患者にも見せられないということでドイツ語を使い、日本語の部分もあえてぐちゃぐちゃに文字を書くことによって患者がパッと見で読めないような工夫をされていました。
ですが、今はインフォームドコンセントや利用者の知る権利などの関係から、記録は一般の人でも読めるように戻されています。
みんなにわかりやすいように、大きな字ではっきりと、きれいに書きましょう。
記録は書いてあるけれど読めないではいけません。
soap
soapとは記録方式の一つです。病院などで看護師が使用する事が多い記述方法ですが、最近では介護記録もsoapで書く施設も増えてきました。
私の勤めていた老人保健施設でも、職員全体で記録の方法がバラバラで統一性がない為、記録はsoap形式で統一しようという事になりました。
ではsoapとはどんな記録方法かというと…「Subjective ・Objective ・Assessment ・Plan」で
でsoap(ソープ)です。
- s=主観的な情報(利用者の訴え)
- o=客観的な情報(観察から得たS以外の情報)
- a=アセスメント(S+Oの情報からの分析)
- p=プラン(アセスメントした内容からの今後の計画)
Sは主観的な情報で、主に利用者さんの話した事と覚えておくといいでしょう。
Oは客観的な情報です。つまりデータがきちんとしている事ですね。例えば、体温・嘔吐した事実・自分の見た事実のみ。
Aはアセスメントですので、その状況からえた分析・介護者の専門的な意見。
Pは結果に基づいた計画の作成。今後どうしていくのがその利用者に対していいのか計画していく。
例をあげて紹介していきたいと思います。
事例
22:00定期のラウンドにいくと口に手を当て真っ青な顔で「助けて気持ち悪い吐いちゃう」と話しているS氏の姿がありました。すでに足元には嘔吐した跡があり内容物には夕食に食べたうどんが混じっていました。
嘔吐しうどんはS氏の好物で夕食には2人前も食べたとの日中の記録には書いてありました。
- s:助けて、苦しい、吐いちゃう
- o :夕食の食物残渣、嘔吐跡あり、顔面蒼白で嘔気続いている
- a:夕食にうどんを2食も食べている事からの気分不快・嘔吐の可能性あり
- p:看護師に報告し経過観察/食事量の調整
となります。
実際にはこんなながながとした内容ではありますがsoapにすると簡素化できていますね。
まとめ
いかがでしたか?
介護記録はとにかく書いた経験が必要です。苦手意識を捨てて「今こうしている事を記録に書くぞ」とどんどん記録にチャレンジする事が大切です。
紹介したポイントをおさらいして介護記録に役立ててくれれば幸いです。
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