「なんだか人間関係がしんどい…」
「施設の運営方針がめちゃくちゃで…」
「結果給料も上がらないし…割に合わないし…」
今の介護職に不満のある皆さん、これから介護職につく予定だけど、介護職って潰しが利かないんじゃ?とおもってる皆さん、こんにちは。
今回は、正直誰に聞いたら良いのかわからない、そもそも聞いていいものかどうかもわからない「転職」について、現役介護職員である著者が、現場の声をお伝えしたいとおもいます。
目次
長く残っていること=正義…なのか?同じ職場で踏ん張る人の意見
日本の雇用形態では、長くいることによる昇給がよくマッチしていますので、「長く残っていること=正義」という風潮がどこの業界にもあります。
はたして、これは介護業界も同じなのでしょうか?
辛い思いをしながらも、同じ職場に何年も残っている人の意見をまとめてみました。
「気づいたら、これだけ(の年月)になっていた」
仕事をするということは、基本的にはマニュアルに沿った同じ作業の繰り返しを同じ品質で行うことになります。
介護職では、人間相手の仕事なので毎日変わったことが生じるとはいえ、やはり基本はルーチンワークの繰り返しです。
同じ客を相手に、同じ時間に同じ作業を繰り返す。
シフト制の仕事とはいっても、たいてい同じような生活習慣になり、同じように明日はやってくる。
ベテランパートさんや、長い期間同じ職場にいたことのある介護士は、たいてい「気づかずに長くいた」という返答が返ってきます。
これには、「特に転職するほどの不満がなかった」という場合と、「転職作業(就職活動)がめんどくさかった」という場合、そして割と多いのが「知り合いが同じ職場だから」という場合があげられます。
特に、介護職は仕事の性質上いわゆる「パートのおばちゃん」が多い傾向にあり、独自のコミュニティを持っていて入ってくる人(おばちゃん同士の声かけで勧誘されるケース)と、職場に入って新たに形成されるコミュニティに所属している人が大半です。
実に仲間意識が強く現れ、「友達が辞めるって言わないからー」という理由だけで続けている人は結構多いようです。
同じく、パートのおばちゃんが多い影響で、類似近隣の他施設の情報(うわさ)も多く職場に流れてきます。その際、話題にされやすいのはやはりプラスイメージよりマイナスイメージが強く、「あそこの職場はこんなところが悪くてさぁ」など、「他の施設のほうが悪い」というイメージがつきがちなことも理由としてはあるようです。
「仕事という責任感で、長く続けられている」
日本人は外国人に比べ非常に仕事熱心です。これに関しては、外国人の運営する掲示板などでもよく話題として取り上げられていますが、もはやまじめとか責任感を通り越して、「一種の宗教」とまで呼ばれるほどです。
他業種にも多いとおもいますが、日本人は特に「仕事をさせてもらってる」という深層心理が働いていて、江戸時代のご恩と奉公の関係がこの辺に現れているのではないかと考えられます。
そんな日本人にとって、「今の職場への忠誠を切って他へ移る」ということ自体があまりなじんでいないということが理由にあるとおもいます。
「他へ移る=不義理」と考える日本人的感情が、皆さんにも思い当たる節が実はあるのではないでしょうか?
「長くいるほうが優遇されるからもはや他へ移れない」
これは大部分、給料や休暇など、制度や経済的な客観的理由によるものです。
日本の労働関係諸法は、「何ヶ月以上の就業者にはこれこれを与えなければならない」ときていするものが数多くあり、有名なところで言うと有給休暇や昇給などがありますね。
介護業界ももちろんその例に漏れず、長くいた人には有給が発生したり、昇給したり、また、ボーナスの査定に+αがついたりと、客観的な部分、また勤務変更に融通を利かせてもらったり、仕事の配分を融通させてもらったりという主観的な部分において働きやすくなっていくのが現状です。
管理職的な仕事をしている著者から見ても、職員をみな平等に見なければならないと常々考えていながら、つい長い付き合いになっているベテラン職員のほうが性格や行動パターンをよくわかっているので、その人が働きやすい配置へ環境整備してしまう部分もありますね。
やはり、以上の点から考えても同じ職場に長くいることは強くオススメされますね。
職場にとっても、職員にとっても、同じ職場に長くとどまることのメリットはそれだけおおきいということです。
いざ転職…受け入れ先は私のことをどう思ってるの?
以上のように、長くとどまることがすばらしいことなのはよくわかってる。
「でもそれ以上にこの職場は辛いんじゃ!!」
そんな世界の中心で不満を叫びたい皆さんに、いざ転職してきた人がどう見られているのか、という「現場の声」をお届けしたいと思います。
今までしていた仕事
まず転職してきた人に声をかけるとき、世間話として何度となく聞かれることが、「前はなにやってたの?どこにいたの?」という質問です。
これが実に職場にとって有力な情報で、なおかつ無難な話題なのです。
下手にその人の趣味とか特技とか聞くより、職場の同僚としてはまずその人がどんな能力を持っているか知りたいもの。
そして、それを知ると実は介護の世界は地域性が強いので、前にも同じ職場にいたとか、逆に遠くから来た人には遠くの介護職の事情が知りたいとか、話が盛り上がります。
介護職になじむコツとして、現場のおばちゃんに好かれるという突破口があります。その際よそ者が話を広げられるのは、やはり転職前の話。
職場のほうも、他の施設のいいこと悪いこと、いろんな情報をほしがってます。
介護職から転職してきた人の場合。
介護職は「毎日同じ客に対して、毎日同じ作業をしながら、それでいて毎日刺激を求めなければならない」という複雑な業務を水面下インファイトで行っています。
認知症高齢者は特に、日々の刺激がなければボケる、刺激があればそれが先延ばしになるという性質の病気ですので、毎日不可能なほどの難易度でない、けれどルーチンにならない程度の作業を用意しなければなりません。
そんな時、もっとも有力なのはやはり「よその施設でやっていた活動」なのです。
そうです、この点において、転職してきた人は非常に重要視されているのです。
介護以外の仕事から転職してきた人の場合。
介護以外の仕事をしていた人は、介護の情報を持っていませんので、職場は前の職場の情報を欲していません。
ですが、職員にとって「なぜ介護に入ってきたのか」ということは重要です。
かなり多い理由として、「介護休暇に入ったら再就職させてもらえなかった」というのを著者は現場でよく耳にします。
つまり、外から入ってきた転職者は、「介護の辛さ」を知っている人です。
こういう人たちは、施設に勤めている人にもたくさんいますし、施設の利用者に対してもたいてい扱いが丁寧であることが多いです。
ただ年月を重ねて学校から直接介護職に入ってきた人より、むしろ接遇や物腰に余裕があり、職場では優遇されていることも多いのです。
前の職場をやめた理由
次に、やはり避けて通れないのが辞めた理由。
上層部は「うちの職場もすぐに離れてしまうのではないだろうか」と不安がってますし、現場自体も「気が散りやすいタイプなのかもしれない」「不満を持ちやすいタイプなのかもしれない」などマイナスイメージがつきまといます。
割と最近、病気療養で前職をやめてきて、いまだにそれを引きずったまま転職してくる人が増えてきたために、「病気を理由に休みがちになるんではないか」という懸念もあります。
一方で、現場のこういう発言の中には、「理想の高い人」というイメージがある、という意見もあります。
介護は他の職業と比べて、人間という主観的な商品を扱っているため、職員にも個々の理想形がさまざまです。
そんな中、自分の理想形が施設の方針と合わなかったから辞めてきた、ということは自分の意見を強く持ち、介護に対して理想が高く、「介護しか出来ないから、他に働くとこがないから」という理由だけで介護を選んでいるのではないというプラスイメージも生じます。
必ずしも、両手離しで喜べるかというとそうでもないのですが、介護職においては割合、こういった考えは敬遠されない傾向にあります。
もちろん、転職初日から理想がかなえられるわけではありません。ですが、仕事に対するモチベーションが高いことが職場に反映されやすいのは、介護職の特色かもしれません。
まとめ
古くから日本経済をまわしてきた「年功序列」の考え方から、日本企業では「転職」にあまり良いイメージをもたれていません。
ですが介護業界ではとてもフットワークの軽い介護士がたくさんいます。
慣れた職場から離れるときは、後ろ髪をひかれる思いや罪悪感も強いでしょうが、それはそれ。業界の常としてあきらめ、次の職場ではきっと新たな出会いもあるでしょう。
介護職は実にストレスや不安の多い職場です。
時にはきっぱりとお別れをして、心機一転、新たなスタートを切ってみるのはいかがでしょうか?
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